スポンサーリンク


上記の広告は一定期間更新のないブログに表示されます。新しい記事を書く事で広告が消す事ができます。

  

Posted by みやchan運営事務局 at

2015年01月25日

「地方には働く場が無いから人が減る」は本当なのか。

地方にとって人口減少というのはとっても大きな問題です。それが語られる時によく使われる論理として、「地方は経済が衰退しているので、その結果として働く場所が無くなり、人が都会に流出している。」というものがあります。なので、解決方法としては「地方に雇用を作ればよくて、働く場所ができれば人は流出しないし、都会から人が戻ってくるんだ」と言われています。実際に政府も「地方創生だー!」ということで、まち・ひと・しごと創生本部なるものを立ち上げて地方に雇用をつくろうと頑張っているわけです。

 でも、その一方、実際に地方で仕事をしていると、全く逆の現象に遭遇するわけです。どういうことかというと、地方には仕事はたくさんあるんだけども、人が採用できない。明らかに人手不足という状況が続いています。じつは先週だけでも農業、林業、水産業すべてからと飲食店、IT企業、デザイン会社、システム会社などなどあわせて50人くらい人を紹介して欲しいと相談を受けました。もちろんハローワークには求人は出してるんですが、人が集まらないらしいんですね。 僕も何人もの人に「誰かいないですかー。」とお願いするんですが、全然人が見つからない。「働く場所が多すぎて追いつかないから、頼むから誰か日南市に来てくれ-!(泣)」という感じで本当に困惑しています。

 巷では「地方には仕事が無いから人口が減る」と言われているのに、実際に地方で起こっていることはその全く逆で、求人を出しても人が集まらない、という状況。僕が仕事をしている日南市も人口は減少しているので、経済の縮小は続いているのだけれど、求人情報はたくさんあるし、企業も求人しても問い合わせすら無いらしい。なんでこんなことが起こるんだろうかずっと疑問でした。

 でもこれって地方の経済構造を見れば当然のことなんですね。地方にある会社の顧客は地元の人たちです。日南市で言えば王子製紙さんやニチワさんのような工場を除けばほとんどの企業の顧客は日南市民や隣町の串間市民です。スーパーや病院、介護施設、飲食店などの顧客はほとんどが地元の人達が顧客なわけです。そして、その顧客である日南市の高齢化率は上がり、引退する人が増える一方で、労働人口は減っていく。。。日南市の人口は減少していくので経済規模も縮小していくのですが、それ以上のスピードで生産年齢人口が減っていくので、結果として人手不足に陥るんですね。

こうやって説明すると、「あーなるほど、たしかにそうだねー」と分かっていただけるんだけれど、なかなか気付いてもらえないんですね。これまでの日本経済って基本は右肩上がりだったわけです。戦争が終わって子どもがたくさん生まれて、労働人口はどんどん増えるけど日本国内のマーケットが大きくなかった。日本の場合は幸運にも海外に販路ができたのでまだ良かったのですが、それでもまだ働く場所が少なかった。なので政府が公共事業とかガンガンやって日本中に働き口を作っていったわけです。生産年齢人口はどんどん増えるけど、引退するお年寄りはそんなに増えない。もちろん一部の会社は人手が不足していたのですが、それはアメリカとかヨーロッパに車、家電を売りまくってたトヨタやソニーのようなメーカーや、エネルギー資源を取り扱っていた商社のような会社です。要するに海外の広大なマーケットで商売していた企業は人手不足だったかもしれないですが、国内マーケットで商売をしていたほとんどの企業にとっては常に労働力は余っていたんですね。なので、経済が縮小しているにもかかわらず、人手が不足するなんてことはありえない。と思い込んでいたわけです。

 僕は学者ではなく実務家ですので、細かいデータを引っ張ってきて分厚い論文を書いたりすることは仕事ではありません。地域の現状に対して、具体的な対策プランを作って実行することが仕事です。地方には働く場が無いから人口が減る。なので働く場を作れば少なくとも人口減少のスピードは鈍化するはずだ。という前提で対策プランを作るのと、地方には働き口はたくさんあるが、何らかの理由でマッチングが上手くいってなくて結果人口が減少している、という前提で考えるのでは、打つべき対策プランは全く違ってきます。
複数抱えるプロジェクト管理など目の前の仕事をしっかりと行うような虫の目だけでなく、統計データなどを元に全体を俯瞰する鳥の目。さらにそれを踏まえて、今後日南市にどんな流れが起こるのかを推測して対策を打つ「潮」をみる魚の目。複数の目を切り替えながら対策を作って実行していかないと行けないと思っています。
  

Posted by たじぃ at 17:01Comments(1)