2015年04月26日
なぜ地方選挙は盛り上がらないのか。
今日は統一地方選挙の投票日。12時時点での投票率速報が各自治体から出てきていますが、ほとんどは前回を下回っていますね。おそらく、このまま行って投票率は前回より下がったり、過去最低の水準の投票率を記録したりするところも多いかと思います。今回の統一地方選挙で目立ったのが、無投票選挙区が多いこと。特に市町村議会議員選挙は多くの所で無投票となり、選挙が行われないまま再選をする議員さんも多いですね。調べてみると、今回は全国の3.6%の議員さんが無投票で再選されており、これは年々上昇傾向にあり過去最高の数値とのこと。ちなみに、首長(市長とか長長)選挙も過去最高水準で無投票当選になっています。でもそもそもなぜ投票率も下がり、無投票選挙区が多くなってきているのでしょうか。
今の若者は政治に無関心だ!とか、政治家という職業に魅力が無い!とか言われていますが、もう少し掘り下げてみると、無投票区の増加の理由は大きく分けると二つになっています。
一つ目は、地域コミュニティが希薄化していること。これはどういうことかというと、そもそも地方議員が獲得する票のうち「地元票」と言うのはとっても大切になります。自分の地域の声を行政に届けてもらう代表者という位置づけが近いですね。実際、県議会選挙と国会議員選挙は地域ごとに選挙区が分かれていて、各地域の代表として都道府県や国の政策に反映させうる仕組みができています。市町村の場合もどこの地域の候補者か、というのは誰に投票するかにおいて重要です。しかしながら、そもそも地域コミュニティに参加する人が減れば、地域の声を行政に届ける必要性も少なくなるわけですから、地元に議員がいる必要性も少なくなる訳ですね。昔は「地元から何とかして議員を出さなければ、地元の要望が通らない!」という時期があったかと思うのですが、時代が進むに連れそういう風潮も無くなってきました。ただ、これは見方を変えると、道路とか下水とか学校とかのインフラが整備されて地元の声を行政に届けなくても良くなってきた、ということもあるかもしれません。いずれにせよ地域コミュニティの希薄化が、地元の議員を議会に送る必要性の低下に繋がり、結果として地元から候補者を立てる、ということが少なくなってきたんだと思います。
二つ目は、相対的に官より民が強くなったこと。どういうことかと言うと、以前は各業界を代表する議員が多くいらっしゃいました。建設業組合や、医師会、農協などの業界、組合を支持母体とする議員です。戦後以降暫くの間、(地方では今でも!?)民よりも官の方が強い時代が続きました。土木建設業にとっては公共事業がどれだけ行われるかが、業界にとってメチャクチャ重要でしたし、農業も強固な規制を敷くことで、国内の農業・農家を守ってきた側面もあります。そんな業界にとっては予算の配分を決める行政機関のチェックや、ルール・法律作りまで行える議員を業界から出すことはとっても大事だったわけです。民より官が強い場合では、業界の声を行政に届けることができる業界を代表する議員がいるのといないのでは、本業に大きく影響します。なので、業界から議員を立てその議員を業界全体で応援する。それが結果として業界の利益に繋がるため、必死に候補者探しをしていたわけです。しかし、今や地方でさえも第三次産業の比率が高まり、一次産業の農林水産業や、第二次産業の建設業、工業の比率は低下しています。さらに公共事業だけでなく、民間投資も行われるようになり、昔に比べると相対的に民の方が官よりも強くなっているわけです。その結果として行政(≒官)への依存度が低下し、業界の声を行政に届ける議員の立候補者を立てるインセンティブが低下しているわけです。
実際、立候補者が減れば、その分だけ支持者も減るわけで、立候補者の減少が投票率の低下につながっていくわけです。とくに若者の投票率が下がっていることに対して、「今の若者は政治に無関心すぎる」と言っているテレビ番組もありますが、若者の投票率が低いのは地域コミュニティの結びつきや、業界自体の官への依存度が減っているからなのです。(昔は会社で「この候補者に投票しろよ!」みたいなことがあったとも聞きますし、、、。)
そうやって、一部の「地域」や「業界」の声を政策に反映しなくてもいい、と思って投票に行かない人が増えれば増えるほど、結果として従来型の「地域の代表」や「業界の代表」の議員の声が通りやすくなります。予算の使い方、政策方針などは投票者してくれる人に有利に流れていってしまいます。(悲しいかなこれが現時点での民主主義の仕組みです。)なので、投票に行かないという人は、どんな地域、国になっても受け入れるよ!という超包容力のある人(もしくはドMの人、笑)か、日本じゃなくても世界どこでも暮らせるスキルを持った能力の高い人だけなはずです。(僕はいずれでも無いので、ちゃんと投票に行きます。ちなみに少しMだと思います。)
(特に若い方へのメッセージなるのですが)自分ひとりが選挙に行っても会は変わらないという想いも分かります。ただ、若いあなたが投票に行かないことで、社会のしわ寄せを若い世代が受けなければならない、ということにつながっています。「社会を変えるために」投票に行くという高い期待を持っていると疲れますが、「若い自分たちが割を食わないように」投票だけには行っておく、という少し軽い気持ちで投票に行くことも大事なんじゃないかなと思っています。
今の若者は政治に無関心だ!とか、政治家という職業に魅力が無い!とか言われていますが、もう少し掘り下げてみると、無投票区の増加の理由は大きく分けると二つになっています。
一つ目は、地域コミュニティが希薄化していること。これはどういうことかというと、そもそも地方議員が獲得する票のうち「地元票」と言うのはとっても大切になります。自分の地域の声を行政に届けてもらう代表者という位置づけが近いですね。実際、県議会選挙と国会議員選挙は地域ごとに選挙区が分かれていて、各地域の代表として都道府県や国の政策に反映させうる仕組みができています。市町村の場合もどこの地域の候補者か、というのは誰に投票するかにおいて重要です。しかしながら、そもそも地域コミュニティに参加する人が減れば、地域の声を行政に届ける必要性も少なくなるわけですから、地元に議員がいる必要性も少なくなる訳ですね。昔は「地元から何とかして議員を出さなければ、地元の要望が通らない!」という時期があったかと思うのですが、時代が進むに連れそういう風潮も無くなってきました。ただ、これは見方を変えると、道路とか下水とか学校とかのインフラが整備されて地元の声を行政に届けなくても良くなってきた、ということもあるかもしれません。いずれにせよ地域コミュニティの希薄化が、地元の議員を議会に送る必要性の低下に繋がり、結果として地元から候補者を立てる、ということが少なくなってきたんだと思います。
二つ目は、相対的に官より民が強くなったこと。どういうことかと言うと、以前は各業界を代表する議員が多くいらっしゃいました。建設業組合や、医師会、農協などの業界、組合を支持母体とする議員です。戦後以降暫くの間、(地方では今でも!?)民よりも官の方が強い時代が続きました。土木建設業にとっては公共事業がどれだけ行われるかが、業界にとってメチャクチャ重要でしたし、農業も強固な規制を敷くことで、国内の農業・農家を守ってきた側面もあります。そんな業界にとっては予算の配分を決める行政機関のチェックや、ルール・法律作りまで行える議員を業界から出すことはとっても大事だったわけです。民より官が強い場合では、業界の声を行政に届けることができる業界を代表する議員がいるのといないのでは、本業に大きく影響します。なので、業界から議員を立てその議員を業界全体で応援する。それが結果として業界の利益に繋がるため、必死に候補者探しをしていたわけです。しかし、今や地方でさえも第三次産業の比率が高まり、一次産業の農林水産業や、第二次産業の建設業、工業の比率は低下しています。さらに公共事業だけでなく、民間投資も行われるようになり、昔に比べると相対的に民の方が官よりも強くなっているわけです。その結果として行政(≒官)への依存度が低下し、業界の声を行政に届ける議員の立候補者を立てるインセンティブが低下しているわけです。
実際、立候補者が減れば、その分だけ支持者も減るわけで、立候補者の減少が投票率の低下につながっていくわけです。とくに若者の投票率が下がっていることに対して、「今の若者は政治に無関心すぎる」と言っているテレビ番組もありますが、若者の投票率が低いのは地域コミュニティの結びつきや、業界自体の官への依存度が減っているからなのです。(昔は会社で「この候補者に投票しろよ!」みたいなことがあったとも聞きますし、、、。)
そうやって、一部の「地域」や「業界」の声を政策に反映しなくてもいい、と思って投票に行かない人が増えれば増えるほど、結果として従来型の「地域の代表」や「業界の代表」の議員の声が通りやすくなります。予算の使い方、政策方針などは投票者してくれる人に有利に流れていってしまいます。(悲しいかなこれが現時点での民主主義の仕組みです。)なので、投票に行かないという人は、どんな地域、国になっても受け入れるよ!という超包容力のある人(もしくはドMの人、笑)か、日本じゃなくても世界どこでも暮らせるスキルを持った能力の高い人だけなはずです。(僕はいずれでも無いので、ちゃんと投票に行きます。ちなみに少しMだと思います。)
(特に若い方へのメッセージなるのですが)自分ひとりが選挙に行っても会は変わらないという想いも分かります。ただ、若いあなたが投票に行かないことで、社会のしわ寄せを若い世代が受けなければならない、ということにつながっています。「社会を変えるために」投票に行くという高い期待を持っていると疲れますが、「若い自分たちが割を食わないように」投票だけには行っておく、という少し軽い気持ちで投票に行くことも大事なんじゃないかなと思っています。
Posted by たじぃ at
16:37
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