2018年01月02日

地方に移住できる人とできない人の違い

移住希望者が求める仕事とは
 地方への移住やUターンを検討した時、必ずと言っていいほどネックになるのが、仕事です。実際、東京在住者の4割の人が地方移住、もしくはUターンを検討しているという調査結果もあります※1が、そのネックになるのが「仕事」と答えている人も約4割にのぼります。しかしながら少子化が進行し人手不足問題が深刻化する現代において、地方で仕事が見つからないことはほとんどありません。実際に有効求人倍率を見ても1を超えています。つまり、仕事がネックというのは額面通りに仕事があるかないか、ということではなく「自分が東京で培ってきたキャリアを継続、もっと言うと活かせる仕事があるのか?」ということなのです。
 では東京でのキャリアを活かした仕事が地方にもあるのか?と聞かれると「ある場合もあるが、ない可能性のほうが高い」と言わざるを得ません。もちろん、地方と言っても福岡や札幌のような都会から限界集落ギリギリの田舎まであるので一概に言えませんが、東京ほど既存の仕事の選択肢は広いとは言えません。(もちろん、地方には東京ではできない仕事も数多くありますが)





移住希望者に見られる2つの思考パターン
 地方移住・Uターンを検討している人たちが仕事の壁にぶつかった時、2パターンの思考をする人がいます。一つは「地方の会社に就職した時、自分はどういう待遇になるのか?」と考える人。もう一方は「自分がこれまで得てきたスキルや知見、人脈を活かせる仕事が地方にあるかどうか?」と考える人です。前者は自分を評価してくれる組織が地方にあるかどうかを重視し、後者は自分のスキル・能力を活かせるポジション(=チャンス)が地方にあるのかどうか。を考えています。この2つの考えは似ているようで雲泥の差なのです。

前者の「自分を(東京と同じくらい)評価してくれる組織があるかどうか」と思考する人に対して、地方の求人リストを渡すと確実に「給料低いですね。。。」と言われ、移住・Uターンには至りませんが、後者の「自分のスキル・能力をどうやったら活かせるか?」と思考する人は(たとえ給与が下がっても)相性のいい仕事を見つけられる可能性が高いですし、なかには起業しちゃったりします。
 この2パターンの思考方法は極論すると「東京でしか働けない人」と「日本中どこでも働ける人」の思考の違いです。自分を評価してくれる組織を探し回る人は東京の企業を転職し続けるでしょうし、自分のスキル・能力を活かせるチャンスを探す人は東京でなくても好きな場所で働くことができます。従来は地方にUターン、地方移住と言うと東京に疲れた人が地方に戻る、というある種負け犬感がありましたが、今は全く反対になっていて、東京でしか働けないので大きな企業で社畜(綺麗な言い方をすると企業戦士?笑)をやるしかない人と、自分のスキル・能力を活かしてやりたい仕事を住みたい場所でできる人の二極化が生まれています。まさにライフプランの選択の幅の格差社会に突入しているのです。

良い移住は検討者のキャリアを地域で活かせるコーディネーターが大事
 最近、僕が住む宮崎県日南市にも移住者、Uターン者が増えているのですが、その多くは東京や海外などで培ったキャリアを活かした仕事を自ら作り出しています。もちろん、既存の地場企業に就職することが多いのですが、その企業の中で新しい事業を作ったり、社内改革を行ったり、存分にこれまでの経験を活かした仕事をされています。地方にある仕事にそのまま就職することしか考えない人と、地方にある仕事に自分のスキル・能力などを追加することでどういう新しい事業が生まれるのかを想像できる人との差はあまりにも大きいのです。逆に言うと地方側は地方移住やUターンを検討する人がいた場合、その人が持っているスキル・能力を地域のどんな人や組織とつなげれば、どのような化学反応が起こるのかを想像できるコーディネーター的な役割をつとめる人が必要です。そのコーディネーターは地域の産業、企業、教育、医療、地域活動、など幅広いことを把握している必要があり、マッチングスキルも問われます。
 移住やUターンを検討している人は地方の仕事に対してどっちのパターンの思考をしているのか、また地域側は移住希望者がいたとき、移住者のキャリアを活かせるマッチングを行う体制が整っているのかを確認してみることが、両者にとって幸せな移住を実現することにつながるのです。

※1「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」の結果概要について。首相官邸HPより  

Posted by たじぃ at 14:22Comments(0)

2018年01月01日

東京で働く最大のメリットは世界一のマーケットに触れられること

東京経済圏は世界最大のGDP
 将来、地方で働きたい人にとって東京で働く最大のメリットは「世界最大のマーケット」の中で常に生活できることです。意外に知られてないのですが、東京経済圏は世界最大のGDPを誇り、ニューヨーク経済圏や上海経済圏を大きく上回っており、今後のしばらく続くと予想されています。デパートやショッピングモールに行けばマーケティングされ尽くした商品・サービスが並び、電車に乗れば魅力的なコピーとビジュアルの広告が目に飛び込んできます。これらは世界最大の東京圏マーケット向けに様々な企業が多くのデータを分析し、あの手この手で消費者の購買欲求を刺激してきます。






狭く深くの東京の大企業と広く浅くの地方の中小企業
 将来、地方で働きたいのであれば東京の大企業で様々な経験を積むことが大事だ、と言われることがありますが、残念ながら東京の大企業で得られる経験は地方の中小企業で役に立つとは限りません。東京の大企業で働いたところで部署、役職ごとに分割されたタスクをこなすことが多く、バリューチェーン全体に関わることができるまで10年以上かかることは珍しくありません。対して地方の中小企業は担い手不足という要因も重なり、一人で何役もこなさなければ会社がまわりません。広報・人事採用・総務や、マーケティング・営業・企画を一人で担当している企業も珍しくありません。大企業は狭く深く業務を行い、中小企業は広く浅く業務を行っているのが現状です。
 たしかに、大企業だと研修制度が整っていたり、会議の進め方が形式化されていたりするので、どの会社でも通用するいわゆる社会人基礎スキルが上がりやすいという側面はあります。しかし、普段の業務ではビジネス全体の細分化された一部分を担うことなり、深い専門知識は付いたとしても幅広い知識が得られるとは限りません。某広告代理店に勤務する友人はかれこれ7年間もテレビCMの枠買いをしており、各番組のCM枠の相場や安く購入する手法について専門知識を持っていますが、広告主が作る商品の顧客設定やクリエイティブ、販路開拓、プライシングなど、その他の領域に関する知識は持ち合わせていません。(そもそも、そういう知識を持ち合わせることを会社からも期待されていません)


東京に住んで得られるのは職業スキルだけではない

 しかしながら「将来は地元で仕事をしたいけれど、一度東京で経験を積んだほうがいいですか?」という質問を大学生から受けることがありますが、「絶対に東京で仕事をしたほうがいい」と答えています。それは、東京の会社で得られるビジネススキルよりも、東京の巨大マーケットの中で消費生活をすることができる経験が、将来地方で働く時にものすごく使えるものからです。よく地方に行くと「地元にはいいものがたくさんあるけど、売り方が下手だ。」と言われます。それは言い方をかえると「地方の人達は地元のどういうモノ、コトが東京のマーケットで評価されるかが分かってない」ということです。
 僕は仕事の中で地域資源を活用したビジネスプランコンテストの運営を行うことがあります。参加者は地元の人を対象にしているケースと、都会のいわゆるよそ者のケースがありますが、仮に同じ地域資源を題材にしても、全く違うターゲットを想定したビジネスプランが提案されます。地元の人が提案するビジネスプランは地元の人たちを顧客設定したものなのに対し、都市部の人たちが提案するそれは、都市部の人たちをターゲットにしたビジネスプランになるのです。それは、ビジネスプランを作る時に顧客をターゲッティングしたとき、普段自分が馴染みのある消費行動をイメージしやすい顧客を選ぶからでしょう。やや尖った言い方をすると、普段から東京のマーケットに触れてる参加者は地方のどんな地域資源がどのように評価されるのかが分かっているが、地元の人たちはそれが分からないので地元向けのビジネスプランに行き着くのでしょう。(言わずもがなですが、どっちがいい悪いの話ではありません)

地方で求められるのは外需向けの事業を創れる人
 いま地方で求められているのは「仕事を自ら創れる人」です。仕事を創るためには顧客を知らなければいけません。地元の地域資源を活用した商品を都市部に販売するビジネス(=外需型のビジネス)が生まれると地域の経済はとても潤います。僕が生活する宮崎県日南市の場合、外需型のビジネスでの雇用が1人分できると3人の地元を顧客にしたビジネスの雇用が生まれます。それは都市部から入ってきたお金が地域内で循環するためです。例えば地元の芋焼酎を東京に売ることで、仕入れ先の芋農家が潤い、芋農家が仕入れている肥料業者が潤い・・・と地域内で経済が繋がっているからです。
 東京で働くことで得られる最大の経験は、大企業に所属して狭く深い専門スキルを得られることではありません。地方で必要とされているのはそういった細分化された専門スキルではなく、世界最大の東京圏マーケットでどういうモノ、コトが評価されるのか、を体感値で知っていることです。東京に住み、消費活動をする中で、あなたに対してあの手この手で消費させようとする商品・サービスに簡単に触れてきた経験値がものすごい価値なのです。その経験値が地元の商品を東京圏のマーケットで売るための仮説をたてる力につながります。外需向けの事業を行う10人の企業ができれば、地域に30人の雇用が生まれることになります。地域で求められるのは縮小する地域内マーケットでパイの奪い合いをすることではなく、外需を取り込む事業をつくることです。そういったスキルや感覚値を持っている人たちは地方に移住したり、Uターンで戻っても多くの仕事が舞い込んでくる可能性があるわけです。
  

Posted by たじぃ at 18:19Comments(0)